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小説EV戦争−著:深井律夫− ブックレビュー

年末年始で読んだ本の中で一番おもしろかったのが深井律夫さんの「小説 EV戦争」

今日はこの本のレビューを記載したいと思います。

 

小説 EV戦争

小説 EV戦争

小説 EV戦争

 

 EV、電気自動車。イーロン・マスクのテスラ自動車を初め各社が次の覇権争いをしている。自動車会社のみならず、GoogleをはじめさまざなIT企業が参入を表明している。自動車産業は、もともと部品点数がとても多く、それが参入障壁となっていた。しかし、EVになると、圧倒的に部品点数が少なくなり、参入が容易となる。電池、とくに蓄電池、そしていかに安全な電池を開発できるか、それが肝となる。スマホ、モバイルPCなどで使われるリチウムイオン電池が主流だが、スマホ、モバイルPCとは使用環境が大きく異なる。

スキー場など温度が氷点下となる場所では、スマホが使えなくなってしまう。これはリチウムイオンバッテリーが機能しなくなることが原因だ。しかし、自動車ではこれは許されない。温度が低いだけでなく、高い状態でも安定して電源を供給する必要がある。高温になると、発火しやすいのが、リチウムイオンだ。。。

これら小説の受け売りです。

EVの基礎知識、現状、そしてこれからを幅広く学ぶことができます。

主人公は、女性三人、四人かな?

日本のメガバンクの最大手の中国北京支店に勤務する静香。パンジョッパリ、在日韓国人として大阪で生まれ、韓国の最大手企業に務める麗香。中国共産党のトップ組織で働く美香。そして中国東北部のある市の市長鄭月下。これらの女性が、男社会で闘う姿が物語の根底に流れている。

静香は、中国人の母を持つハーフ。麗香は、在日韓国人。美香は、朝鮮族の中国人。三人ともに日本人とも、韓国人とも、中国人とも見られない、各国のはざまに生きる強い女性。彼女らが生きるのは、男性社会のエリート世界。

日本の官僚と、メガバンク、財閥の絶妙な関係、中国社会の暗黙のルール、韓国財閥の覇権争い。これらを切り抜いただけでも面白い小説に仕上がっている。

そして、現実社会の企業の不正・粉飾や、事件をモデルにしたものも描かれており、現実を覗けて面白い。

日中韓、隣国同士なのに半目している現在もかつては、万葉集の時代など隣国で尊重しあっていた。もう一つの核となる呂氏春秋。電力閥と石炭閥の戦いをある暗号がミステリーの要素も加えてくれる。

EVの知識を得ながら、男性社会に挑む女性たち、そしてミステリーの要素がうまく絡み合って読み応えのある作品となっています。

 

作者は、深井律夫氏。日興銀入校後、上海に留学し。同行上海支店にも勤務した。かつて城山三郎経済小説大賞した。

 

ほんと面白いからぜひ読んでみてー