こちら海抜0.1m!

いつの間にかベンチャーに移ってました。住んでるところは海抜0.1m。会社のステージもまだまだ海抜0.1m。

あまりよくわかっていない人のための生産性向上・働き方改革入門

あんまりよく分からないままに推し進められる働き方改革。

 

日本企業はビッグワードに流されがちです。

最近では、企業のWEBサイトや広告に、ビッグデータ、AI、RPAなどの流行り言葉を至る所でみることができます。

その言葉を入れると(実態は伴っていなくても)最先端を走っていたり、仕事をしている風を装えるからでしょうか。

 

今日は、その中の流行り言葉の一つ、「働き方改革」「生産性向上」をピックアップして書いていきたいと思います。

 

働き方改革?生産性向上?

直近で発表された、日本の労働生産性OECD加盟35カ国中20位でした。

http://www.jpc-net.jp/intl_comparison/intl_comparison_2017_press.pdf

 

OECDデータに基づく2016年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、46.0ドル。これはアメリカの約3分の2の水準です。 主要先進7カ国の中では、最下位が続いている状態にあります。

 

製造業は世界のトップ??

生産性が低いのは、サービス産業だけで、製造業は世界のトップ。。。と思っている方が多いと思いますが、

 

実は、日本の製造業の労働生産性水準(就業者1人当たり付加価値)は、95,063ドルで、14位でした。 2000年ごろまでは確かに世界のトップでしたが、現在は14位の位置まで落ちてきてしまいました。

 

世界中から言われているように日本の生産性向上は急務のようです。

 

そもそも生産性とは?

労働生産性とは、労働者1人当たりで生み出す成果、あるいは労働者が1時間当たりで生み出す成果を指標化したものです。

 

数式にすると一般的にはこんな感じです。

 

f:id:shinovo:20180123230907p:plain

 

また先程出てきた主要先進35カ国で構成されるOECD加盟国で国際比較される際の数式は次のとおりです。

 

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一般的にいう労働生産性と、国際比較で用いられる労働生産性って、分子分母が大きく異なります。

 

国際比較は、国同士を比べるだけあって、めっちゃマクロな感じです。

 

マクロな視点で比較すると、日本の労働生産性は先進国の中でかなり低いということは認めざるを得ないでしょう。

 

国際比較の労働生産性を数式から読み解いて考えてみる

数式から分かるように、労働生産性が低いということは、分子が小さい=GDPが小さい、もしくは分母が大きい=労働量(人数もしくは総時間)が大きい、ということになります。

 

なので、労働生産性を高めるためには、GDPを拡大させるか、労働量を少なくするかのどちらかとなります。

 

ちなみに、日本政府はなんとか生産性を(見た目)向上させるために、基準を変更しました。

 

従来日本では1993SNA基準というものを使っていましたが、2008SNA基準に切り替え、結果として2015年度のGDPが31.6兆円(GDP比6.3%)も上方修正されることになりました。 といっても順位に大きな変動はなかったんですが。。。こうまでしてでも順位を上げたいという意思を感じます。

 

働き方改革で労働量を減らせるか?

もう、こうなったら労働量を少なくするしか方法がない、ということで(?)働き方改革に拍車がかかっています。大企業が寄ってたかって血眼になって。

 

そうそう、労働量といえば、「就業者数」✕「労働時間」で表されます。

 

少子高齢化で、日本の就業者数は右肩下がり。

1998年の6,793万人をピークに、2015年の労働人口は、6,075万人までなんと1割も減少しています。

 

なんと!なにもしないでも、労働量は減っているではありませんか。しかもこれからもますます減っていく予定です。

 

ん?ということは、めっちゃみんなの残業が増えて、総労働時間は増えたってこと?

どうもそうでもなさそうです。

 

年間総労働時間は、1989年に2,076時間だったものが、2015年には1,724時間に減っています、これって実に17%の減少

 

労働量は、めっちゃ減ってるやん。

 

じゃ、バブル崩壊後の例の失われた20年とかいうやつで、大幅にGDPが縮小したに違いない。

 

分母が17%も減っているので、GDPに変動がなければ、労働生産性は上がっているはずだ。でも、見た目の労働生産性は先進国最下位。

 

GDPの変動がどうなっているを確認せねば。

バブル崩壊時、1989年当時、日本のGDPは454兆円(名目)・404兆円(実質)、そして2016年には、基準変更もあり537兆円(名目)・521兆円(実質)!

 

なんと! 名目で18%、実質で29%も成長しているではないか。

 

ん?ん?どういうことだ。

 

労働生産性が低い低いと言われている日本。計算式上では、改善しているはず。。。

 

そうなんです。労働生産性の数値だけを取ってみたときに、バブル崩壊後から現在までで、緩やかではあるものの向上してきているんです。

 

しかし、ここは国際比較。比較なんです。

日本の伸びに比較して、他国はもっともっと生産性を高めているんです。

 

OECD加盟35カ国の労働生産性における2010年〜2015年の平均上昇率は、0.8%、一方日本の上昇率は0.4%、これは加盟35カ国中28位の数字。

 

まとめると、 労働生産性は確かに上向きにあるものの、その伸び率が小さい。

OECD加盟35カ国中では伸び率は28位。平均の半分の伸びしかない。

労働生産性は低いと認めざるを得ない。

 

はじめのテーマに戻って: 働き方改革で、生産性向上

これを実現するためには、下記2つ。

 

1)GDPを拡大させる必要がある。

2)労働量を削減する必要がある。

 

さきほども書きましたが、これから少子高齢化、超高齢化がますます進展していくので、2)の労働量はほうっておいても、減少の一途です。

目を向けるべきは、1)のGDPの拡大ですね。

 

GDPの拡大とは、また壮大な話です。

 

GDPとは?

GDP(国内総生産)とは、一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額のことである(Wikiより)

国内総生産 - Wikipedia

 

数式もあります。マクロ経済学で習いましたね。もう忘れたよ、、、という声が聞こえてきそうですが。

 

GDP = 民間消費 + 民間投資 + 政府支出 + ( 輸出 ー 輸入 )

 

民間消費は、人口が増えると必然的に伸びるのですが、それはままならず。

そうなると、お給料が増える必要があります。

だから、政府は民間に働きかけて、賃上げを要請していたりするんですね。

 

そして、法人税を下げることで、民間投資を呼びかけ、政府もじゃぶじゃぶに支出を増やす。 そして、貿易黒字も拡大させる。

 

マクロレベルの話なので、1会社、1個人ができることは限られるでしょうけれど、国は、1会社、1個人の集合体です。 小さいながらもその組み合わせがGDPへとつながります。

 

そう考えると、小さな生産性の改善が、社会全体に波及すると。。なかなか難しいでしょうけれど。

 

外国と日本との違い(ここからはかなり主観です)

生産性の観点で言えば、日本は「考える」労働者の割合が多い気がする。

「考える」労働者の生産性は低くなりがちです。だって、決まりごとが少ないから。自分で考えて、答えを見つけて、、、試行錯誤の連続です。

これを下っ端にまで求めているのが日本のような気がします。

SOPに従って仕事をすれば成果があがる、というものを描ききれていないことが問題。

それだけ、日本人の下っ端が賢いのかもしれない。

 

役割分担が苦手。そして、他人の仕事にまで首を突っ込む。

日本の良いところでもあるのかもしれませんが、他人が忙しそうにしていると、ついつい手を差し伸ばしてしまいがちです。

これって外国じゃタブーのところも多いです。人の仕事を奪うってナニゴト!?ってな感じで。

自分の仕事はここまで、これはあの人のシゴトって割り切れる外国人ってすごい。

 

自分の会社は特殊だ、ってホンキで思っている。

世界標準のERPパッケージの導入があるとして、外資のトップ企業は、仕事のやり方をシステムに合わせます。世界標準に自社を合わせることで、世界標準を手に入れるって考えです。

一方、日本は、世界標準のERPパッケージの導入にあたっては、ダダをこねます。

うちのやり方と違う。だから、ここはうちに合うように仕様変更してくれ、と。

だって、うちの会社は特殊だから。まぁ、よそさまには分からないでしょうけど、と。

中間システムを無理やり作って、自社の旧来の慣習を守り抜き、世界標準は無視します。しかも莫大な費用を使って。

つまり、めっちゃ労力とお金をかけて、生産性を下げてるんです。

 

良いものがあれば、それをマネて生産性を高めていく。

 

この考えができなければ日本の生産性は絶対高くならない、と思う今日このごろでした。

 

またねー